2211年2月26日の定例国防会議で「宇宙海賊出現」の報告。

我が国の辺境から憂慮すべき報告が入っている。宇宙航行が実現されて以来、地球の過激な諸集団が我が社会の平和的なあり方を拒絶し、母星を離れる数が増えていた。道を誤った彼らは「幽霊艦隊」と自称し、複数の民間宇宙船を軍艦に改造している。彼らはバーナード星系の劣悪な小惑星拠点に住みつき、海賊となって民間船を襲撃している。その無慈悲な攻撃により、多くの死者が出ている。国民を守るため、大胆な対策が必要だ。

民間船が襲撃されると……

  1. 就航する宇宙船が減る→物資の円滑な流通が阻害される→物資の補給が滞る→物価が高騰する
  2. 警備・護衛が強化される→安全保障関係の費用が上積みされる→物価が高騰する

さらに物価が高騰すると……

民衆の不満と不安が高まる→国家の統治能力に対する不信感が強くなる→政情不安定になる

結局、民衆に不利益がもたらされることになるので、事ここに至っては海賊掃滅しか道はあるまい。

翌3月の国防会議で艦隊の派遣が決定したことを受け、統合幕僚本部のもとで具体的な出撃計画を検討している最中に、機先を制するかのごとく『幽霊艦隊』が動き出した。

4月11日。トリニック星系の偵察衛星が不審な艦隊の動きをキャッチした。どうやら『幽霊艦隊』の一団らしい。コース(軌道)の解析結果から判断すると、トリニック星系を通過してシリウス星系を目指していると思われる。

できればトリニック星系で捕捉したいが、おそらく間に合うまい。センサーからの情報によると、『幽霊艦隊』の規模は、彼らが「レイダー」と称しているコルベットクラスの艦艇5隻程度らしい。

これ以上、準備やら人選やらで時間を浪費することはできん。宇宙艦隊(第1艦隊)に出撃命令が下った。

7月下旬、宇宙艦隊はシリウス星系外縁部に到達。『幽霊艦隊』は星系内の採掘および研究ステーションを攻撃・破壊中。個艦の性能は同等。数も同じ4隻ということで、戦力的には互角。

ただ、速度は敵の163に対して170で若干上回っているので、機動力を活かした戦法を採る。一撃離脱だな。

結果、わが方の勝利。戦果は敵のレイダー3隻撃破。味方は損失なし。

海賊艦隊撃破の余勢をかって根拠地を叩きたいところだが、バーナード星系は調査船による星系調査がなされていないため、ハイパーレーンが開かれていないから、艦隊は入れない。

すぐ星系調査を行おうにも、調査船『マゼラン』はイミュシン星系、『ダーウィン』はポネル(現ポレヴィト)星系をそれぞれ調査中。今回は見送るとしても、できるだけ速やかにバーナード星系遠征を果たしたいものだ。