2236年
3月28日:連邦「公正枢軸」発足。
リライト星間連盟とタンベーター王国共同体が「公正枢軸」なる連邦を結成した。もっと洗練されたネーミングはないものかとも思うが……。
次いで、ザクラク協商とガンレアビア独裁国が準加盟国に。サクラクはともかく、「封建帝国」を標榜し「覇権を狙う帝国主義者」が指導するガンレアビアを仲間にするというのは、いかがなものか。
5月22日:連邦準加盟の提案
当面、準加盟なら……。とはいえ、これからしつこく正式加盟を勧められるんだろうな。
2239年
1月18日:ザクラク協商と不可侵条約を締結。
2月22日:シリウスに隣接するスチニック(Schinik)星系に居座り続ける異星人艦隊を排除。
2240年
領土の全体像がほぼ固まってきたような……。
2月20日:
Kuzom Vaで見つかった異星人の遺体はすべて、真空に投げ出されたことが死因だとわかった。表皮にはそれぞれ、サイブレックスが捕虜にした有機生命体に刻印することで知られるバーコードがあった。おそらく尋問を終えた後か、何らかの救出作戦が行なわれた際に逃さないよう、サイブレックスが「宇宙投棄」したのだろう。真相は永遠に闇の中だ。
11月15日:惑星パルメレンドで古い自動製造施設が発見された。“古い”といっても鉱物を12も生産する能力を持っている。
2241年
首相選挙の結果、スタンレー・ブルーム(Stanley Bloom)新政権が誕生。
2月23日:
Rimmock IIで見つかったサイブレックスの研究モジュールの調査により、機械知性がサイバネティック生命体の実験をしていたことが明らかになった。何百体もの不運な捕虜が施設に移送され、手足や内臓をさまざまな機械装置に交換されたのだ。実験の正確な目的は不明なままだ──サイブレックスがこのラボ外でサイバネティック個体を使用した形跡はない。
8月12日:
サイブレックスがYiriam VIでヘリウム3を採掘していたことを示す証拠が見つかった。宇宙空間を遊弋する彼らの燃料として供給するため、軌道上の施設でガスを精製していたようだ。
興味深いことに、施設を破壊した反物質兵器は、明らかにサイブレックスのものに特徴的なエネルギー痕跡を示した。彼らはなぜ、自らの精製施設を破壊したのだろう?
2242年
11月12日:
科学部門担当官(元首相)Dan DengはLandiz VIのサイブレックス戦闘体の残骸2体を調査して、互いに戦って破壊されたものだと結論づけた。この説は残骸の損傷パターンと、またサイブレックスのものではないデブリが見つかっていないことの説明になる。
しかし、サイブレックス同士が戦った理由は謎のままだ。両者は活動できなくなった後、自爆装置を起動して自らのニューラル・プロセッサーを破壊してしまった。
今さらながら、サイブレックスの説明を見つけた。
我々はOrellia IIIaでサイブレックスの遺物を回収した。彼らは約60万年前に銀河のこの領域を支配していた、集合意識を持つ機械知性だ。その起源と正確な性質は謎に包まれているが、彼らは全ての有機生命体に対し聖戦を開始したことで知られている。戦いは何世紀も続き、何兆人もの死者を出した。
彼らの文明が遺したものを十分に発見することができれば、母星の位置を特定できるかもしれない。
11月14日:サイブレックスの母星系を特定
回収されたサイブレックスの遺物を綿密に調査した結果、Earthの科学者たちは古代の機械知性たちが「サイブレックス・プライム」と呼んでいた星系の正確な銀河座標を推定することができた──おそらく、あらゆる有機知的生命体を絶滅させる試みが頓挫した後、彼らはそこに退却したのだ! 他の誰かに先を越される前にこの星系への遠征を始めるべきだろう。
長らくの調査の結果、「サイブレックス・プライム」の位置が判明。オレリア星系の近傍宙域だった。地球からだと10光年あまりの距離になろうか。早々に調査船を派遣しよう。
2243年
11月2日:サイブレックスの中央集合体
銀河系の有機生命体殲滅に着手してから17年目に、サイブレックスは計画を再考したようだ。それが戦闘に負けたためなのか、集合知性のイデオロギー転向のためなのかは決してわからないだろうが、いずれにせよ彼らは計画を放棄した。
彼らはそれから百年近くかけてゆっくりと撤退し、やがて完全に姿を消した。撤退したこの星系に、彼らはその全文明を収めておける巨大なリングワールドを建造したのだ。
それから数千年の間、彼らはここで隔絶していたが、ある単独の探検家が偶然この星系にたどり着き、銀河全体にその位置を伝えた。恐るべきサイブレックスが再び見つかったという知らせにより、近隣諸国は大規模な軍事遠征を行い、サイブレックスのリングワールドを破壊し尽くした。
奇妙なことに、サイブレックスはまったく抵抗しなかったようだ。